Parallella概要
Parallellaは、米国Adapteva社が提供するオープンな並列・並行コンピューティング・プラットフォームです。
16コア、または64コアの演算用アクセラレーター、制御用のデュアルコアARMプロセッサとFPGAを搭載した小型の開発ボードの形で提供されます。
Parallellaボード(Gen1.1 大きさはクレジット・カード・サイズ)
プロトタイプ(Gen1)
基板上面
基板背面
基板側面
基板裏側の4つのPECコネクタを用いて拡張が可能です。図のように複数の拡張ボードを積み重ねて拡張できる仕組みになっています。
Parallellaには以下のような特長があります。
- オープン・アクセス:誰でも開発ボードを購入して使用したりソフトウェアを開発することができます。開発ライセンスや機密保持契約などを締結する必要はありません。アーキテクチャや開発用の資料もWebで公開されます。
- オープン・ソース:開発ツールやライブラリがオープン・ソースで提供されます。ボードの設計資料もオープン・ソースで公開されます。
- 入手しやすい価格:Kickstarterのプロジェクトでは16コア版のボードが99ドルとなっています。開発ツールや資料は無料で提供されます。
- 非常に優れた電力効率:64コア版のアクセラレーターチップは50 GFLOPS/W(1ワットあたり50 GFLOPSの性能)(単精度)で、極めて高い電力効率を達成しています。消費電力はモバイル並なのに演算能力はハイエンドPC並です。(比較対象として、最新のGPUでも20 GFLOPS/W以下、Core i7で7 GFLOPS/W程度です。参考:Processors that can do 20+ GFLOPS per Watt)2018年に1 Exa FLOPS(スパコン「京」の100倍)のスーパーコンピューターを実現することが目標になっていますが、このレベルではシステム全体の電力効率を50 GFLOPS/W(倍精度)までに高めないと規模が大きくなりすぎて実現不可能と言われています。
ハードウェア・スペック
- マルチコア・アクセラレーター「Epiphany」 (16または64コア)
- ホストCPU:Zynq-7010または7020(デュアルコアARM A9 CPU + FPGA)
- 1GB RAM
- MicroSDカード・スロット
- USB 2.0 x2(PC x1, Device x1)
- 拡張端子 x4(Epiphany x2, Zynq x1, Power x1)
- Ethernet 10/100/1000
- 映像出力:Micro HDMI
- OS:Ubuntu
- 開発ツール:無料でアクセラレーター用のC、デバッガー、Eclipse、OpenCL、ランタイムライブラリが提供される。
- ボードのサイズ:8.636cm x 5.334cm
Parallella基板レイアウト:
Parallellaブロック図:
Parallella配線図:
マルチコア・アクセラレーター「Epiphany」スペック
(以下のスペックはチップ自体の定格スペックです。Parallella搭載時のクロック等は変更される場合があり、帯域などもこれにより変動します。)
64コア版(E64G401):
- RISCプロセッサ x 64 コア
- クロック:800 MHz
- ピーク演算性能:100 GFLOPS
- ローカルメモリ帯域:1638 GB/s
- ネットワークオンチップ帯域:102 GB/s
- オフチップ帯域:6.4 GB/s(1.6 GB/s シリアルリンク x 4)
- オンチップ共有メモリ:2 MB(ローカルメモリ32KB x 64)
- 最大消費電力:2 W
- IEEE浮動小数点演算
- 複数のEpiphanyチップをシリアルリンクでグリッド状に接続可能(1ボード64チップまで)
- 15 mm x 15 mm 324-ball flip-chip BGA
16コア版(E16G301):
- RISCプロセッサ x 16 コア
- クロック:1 GHz
- ピーク演算性能:32 GFLOPS
- ローカルメモリ帯域:512 GB/s
- ネットワークオンチップ帯域:64 GB/s
- オフチップ帯域:8 GB/s(2 GB/s シリアルリンク x 4)
- オンチップ共有メモリ:512 KB(ローカルメモリ32KB x 16)
- 最大消費電力:2 W
- IEEE浮動小数点演算
- 複数のEpiphanyチップをシリアルリンクでグリッド状に接続可能(1ボード64チップまで)
- 15 mm x 15 mm 324-ball flip-chip BGA
マニュアル等
リファレンス・マニュアル、データ・シート、ホワイト・ペーパー等
上記の情報は米国Adapteva社ウェブサイトなどの情報を基にしたものです。出典元の著作物の権利は、米国Adapteva社など、その原著作権者に帰属します。