x86 PCにUbuntu 20.04をインストールします。
Ubuntu 20.04 (Focal Fossa)はUbuntuのLTS(Long Term Support:長期サポート)版で、通常のリリースよりも長期間セキュリティ・アップデートがサポートされます。
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できるだけメモリとディスク容量の消費を抑えるように、インストールするパッケージをカスタマイズして軽量化を行っています。
また、軽量デスクトップ環境のLXDEを使用しているので、全体的に軽快な操作感が得られます。
必要なもの
- x86 (64bit) PC
- OSをインストールするHDD(消去していいもの)
- DVD-Rドライブ
- DVD-Rメディア1枚
もしくは、
- kvm、VirtualBoxなどの仮想化PCソフト
Ubuntu 20.04 Legacy Server install imageのダウンロード
Ubuntuミラーサイトから ubuntu-20.04-legacy-server-amd64.iso をダウンロードします。
「desktop image」や「live server image」ではなく「Legacy server install image」を選択してください。(デスクトップ環境は後でインストールします。)
このインストーラーを使うと最小インストールが可能なのですが、これは現在Unsupportedな扱いで、通常のデスクトップインストーラー等とは異なるディレクトリで公開されています。以下のリンクからダウンロードしてください。
例えば
JAIST ミラー、
cdimage.ubuntu.com等から、もしくはTorrentでダウンロードしてください。
これをDVDにISOイメージ書き込みモードで焼きます。(仮想環境の場合はisoファイルをDVDイメージとして設定します。)
下準備
PCのHDDを入れ替えます。
HDDはNTFSフォーマットされているとインストーラーでエラーが出る場合があるので、あらかじめパーティションを削除しておきます。
ネットワークはDHCPで接続できるようにしておきます。
最小システムのインストール
インストールDVDを入れて起動します。
最初に出るLanguage選択画面はEscキーでキャンセルします。
キーボードのNumLockがONになっている場合はOFFにします。
画面中央の選択肢の中から「Install Ubuntu Server」にカーソルを合わせます。(カーソルキーの上下で。カーソルを合わせるだけで、まだEnterは押さない)
F3キーを押し、Keymapから「Japanese」を選択します。(日本語106/109キーボードの場合)
F4キーを押してModes選択に入り、「Install a minimal system」を選択します。
F6キーを押し、次にEscキーを押すと画面の下の方に「Boot Options」という行が表示されるので、その末尾(「---」の後に1文字スペースを挟んで)に「 recommends=false」と追加してください。そしてEnterを押すとインストーラーが起動するので、以下のようにインストールオプションを選択していきます。
Select a language: C - No localization (ASCII)(ここではJapaneseは選択しないでください)
Select your location - Continent or region: Asia
Select your location - Contry, territory or area: Japan
Configure the keyboard - Detect keyboard layout?: No
Configure the keyboard - Country of origin for the keyboard: Japanese (日本語106/109キーボードの場合)
Configure the keyboard - Keyboard layout: Japanese (日本語106/109キーボードの場合)
Configure the network - Hostname: ubuntu (任意)
Set up users and passwords - Full name for the new user: 通常使用するためのユーザー名を決めて入力します(半角英字)
Set up users and passwords - Username for your account: 通常使用するためのユーザー名を決めて入力します(半角英字)
Set up users and passwords - Choose a password for the new user: ユーザーのパスワードを決めて入力します
Set up users and passwords - Re-enter password to verify: もう一度入力します
Configure the clock - ... your time zone is Asia/Tokyo ... Is this time zone correct? : Yes
(パーティションをあらかじめ削除している場合はこのメッセージは出ません)
Partition disks - Unmount partitions that are in use?: Yes
Partition disks - Partitioning method: Guided - use entire disk
Partition disks - Select disk to partition: インストール先のHDDを選んでEnter(通常は1つだけ表示されているはずです)
Partition disks - Write the changes to disks?: Yes
Configure the package manager - HTTP proxy information: 空欄にします
Configuring tasksel - How do you want to manage upgrades on this system?: No automatic updates
Software selection - Choose software to install: 何も選択しない状態でEnter
Install the GRUB boot loader on a hard disk - install the GRUB boot loader to the master boot record?: Yes
Finish the installation: Continue (DVDを抜いてEnter)
再起動したら作成したユーザーでログインします。ログインプロンプトが出るまで真っ黒な画面のままですが、1分ほど待ちます。
ubuntu login: ユーザー名
Password: パスワード
これがUbuntuの最小インストール状態です。X環境が不要な場合はこのまま使用できます。
簡単に軽量なX環境をセットアップできるように、スクリプトを作成しました。どのような設定を行っているかは、それぞれのスクリプトファイル(~.sh、~.pl)を参照して下さい。
ログインした端末で以下のように作業します。
cd
wget https://cellspe.matrix.jp/files/ubuntu2004pc.tar.gz
tar xf ubuntu2004pc.tar.gz
(バックナンバー)
以前のUbuntu LTS向けのスクリプトもあります。
上記のファイルネームを
ubuntu1804pc.tar.gz
ubuntu1604pc.tar.gz
に読み替えてください。
最初のアップデート
cd ~/ubuntu2004pc
sudo ./myupdate.pl
インストール時に設定したパスワードを入力して続けます。
sudo reboot
再起動して再度ログインします。
軽量デスクトップ環境のインストール
cd ~/ubuntu2004pc
sudo ./instx.pl
途中でスクリーンセーバーが働いて画面が真っ黒になった場合はEnterキーを1回押してください。
日本語環境の設定
./setjp.pl
sudo reboot
再起動、再ログインします。
ログイン後、Xサーバーを起動します。
startx
ここからはデスクトップ環境で設定します。
Mousepad(テキストエディタ)の設定
アプリケーション・ランチャーのアイコン(デスクトップ左下のフォルダのアイコン等が並んでいる部分)の上で右クリック、アプリケーション・ランチャーの設定でアクセサリ:Mousepadを追加(Add)します。
LXTerminalの設定
Mousepadと同様にアプリケーション・ランチャーの設定で、システムツール:LXTerminalを追加します。
PCManファイルマネージャの設定
PCManファイルマネージャを起動して、メニューから編集→設定→ボリューム管理の自動マウントに関するチェックボックスをオフにします。(新しいディスクのフォーマットを行う際に自動マウントされると困る場合があるため)
自動マウントをオフにした場合、左側のペインからドライブ名をクリックすると自動的にマウントされます。
時計をローカルタイムにする方法(任意)
端末で
sudo hwclock --localtime --adjust
終了方法
端末で「sudo poweroff」、パスワードを入力すると電源が切れます。
パッケージのアップデート
端末で好きな時にアップデートでき、アップデートの詳細なログも残せるスクリプトを作りました。
端末で
cd ~/ubuntu2004pc
sudo ./myupdate.pl
この操作は少なくとも週一ぐらいで時々行ってください。セキュリティやバグ修正のアップデートです。
おすすめパッケージ(ソフト)のインストール
動画・音楽プレーヤー(smplayer)、画像編集ソフト(gimp)、PDF表示ソフト(zathura)、3Dグラフィック作成ソフト(blender)、図形編集ソフト(inkscape)、音楽作成ソフト(milkytracker)、音声編集ソフト(audacity)をインストールします。
端末で
cd ~/ubuntu2004pc
sudo ./instapp.sh
Libre Office(フリーのオフィススイート)のインストール
端末で
cd ~/ubuntu2004pc
sudo ./instoffice.sh
その他のパッケージのインストール
必要に応じてインストールします。
端末で
cd ~/ubuntu2004pc
apt-cache search キーワード(英語で。パッケージ名の一部やキーワード等)
これでインストール可能なパッケージ名が表示されます。
sudo ./myaptget.pl install パッケージ名
これでパッケージをインストールします。インストールして詳細なログを記録できます。どんなパッケージがインストールされたか後で確認できるので、パッケージを綺麗に削除したい場合に便利です。
sudo ./myaptget.pl test パッケージ名 で、実際にはインストールせずに、どんなパッケージがインストールされるかシミュレーションすることができます。重そうなパッケージはあらかじめこれで確認しておくことをおすすめします。
myaptget.plスクリプトの解説:「--no-install-recommends」は、必須ではない推奨パッケージをインストールしないオプションです。推奨パッケージをインストールすると、芋づる式にたくさんのパッケージがインストールされてしまうので、軽量環境を保ちたい場合にはこのオプションを指定してインストールします。
パッケージを削除する方法
端末で
sudo apt-get purge パッケージ名(スペースで区切って複数指定可能)
壁紙を変更する方法
端末で
sudo rnano /etc/xdg/lxsession/LXDE/autostart
このファイルの中に、「@feh --bg-fill /usr/share/lxde/wallpapers/lxde_blue.jpg」という行がありますが、これの「/usr/share/lxde /wallpapers/lxde_blue.jpg」の部分に表示したい壁紙のファイル名をフルパスで設定します。
フルパスのファイル名は、例えば自分のホームディレクトリにwallpaper.jpgというファイルを置いた場合、「/home/ユーザー名 /wallpaper.jpg」です。パスはPCManFMでファイルを右クリックしてプロパティを開いて「場所:」で確認できます。
設定のキャッシュをクリアします。
rm ~/.config/lxsession/LXDE/autostart
スクリーンセーバー(画面の暗転)をオフにする
rnano ~/.xsessionrc
ファイルの末尾に「xset s off -dpms」を追加します。
その他のパッケージ情報
- gccなどの開発環境
build-essential manpages-dev git curl
- JDK
default-jdk ant
Emacsで日本語入力時に文字化けする問題
Anthy, anthy-el, Emacs25の組み合わせで使用すると日本語入力時に文字化けします。
代わりに ibus-mozc を使用すると正常に使用できます。
scim-anthy をアンインストール
sudo apt-get purge scim-anthy scim-gtk-immodule im-config kasumi
ibus-mozc をインストール
sudo apt-get --no-install-recommends install ibus-mozc im-config mozc-utils-gui ibus-gtk ibus-gtk3
emacs-mozc をインストール
sudo apt-get --no-install-recommends install emacs-mozc
rnano ~/.emacs
以下の設定を追加します。
(require 'mozc)
(setq default-input-method "japanese-mozc")